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Life

Senior Editor’s Letter – コロナとの半年間の学生生活

This article is written by a student writer from the Her Campus at ICU (Japan) chapter.

新型コロナウイルスという言葉が耳から離れなくなり、今まで何も考えずに大学に通えて、友達に会えて、新たな学びの発見に喜び楽しみつつも、差し迫ってくるテストにうなされる日常がある日突然なくなりました。

2020年の秋学期最後の記事として、そしてこの記事の公開日が私の21歳の誕生日という節目の日として何か言葉をつむぎたいと考え、VOGUE編集長の “editor’s letter”をもじって “(名ばかり)senior editor’s letter”を残したいと思います。

 

かの有名なアリストテレスが言った「人間は社会的動物である」という言葉は「人間は一人では生きられない、他者との関係において存在している」と解釈されています(ブリタニカ国際大百科事典参照)。社会的活動が制限される中、多くの人が家族、友人、恋人に会えない生活を送り、彼らのありがたみにあらためて感謝すると同時に、孤独感や恋しさを募らせると思います。

ネットワーク社会に生きる私達はキラキラしているSNSを見て他の人と比較して「今日、自分はなにもしなかったな」とか「一日を無駄に過ごしてしまった」と感じる事もあると思います。そうして大切な人たちが追いつめられている事に気付くことさえも難しくなってきています。あまりにも愛おしくて貴重であるのに「平凡」だった過去の日常と、せわしなく生きる事だけは変わらないけど寂しくてつまらない今の現実とのギャップは、簡単に埋められるものではありません。

しかし「必要は発明の母」という言葉があるように、ICU生が今何を必要としているか、そして同じICU生として何が出来るかをHCICUはチーム一丸となって考え、「不要不急」とラベル付けされた私達の貴重な時間を少しでも取り戻すべく、様々な情報を発信しました。

ICUの縮図であるHCICUは国籍、バックグラウンド、得意とする言語、専攻しているメジャー、それぞれが違います。好きな本や映画、音楽にコスメ。今まで自分の暮らした/旅行した国の良かったところ。「自分」を形作るアイデンティティやルーツ。自分の悩みへと繋がっている社会の問題。45人のHCICUメンバーそれぞれが持っている個性を表現する場所であるとともに、読者の皆さんにとってはほしかった情報が手に入ったり、自分と同じ悩みを持つ人に共感したり、そして時には勇気づけられるような記事に巡り会える場所としてHCICUがあればうれしいです。  

 

「かなしみは明るさゆゑにきたりけり  一本の樹の翳(陰)らひにけり   (前登志夫)」

  ″一本樹のようにまっすぐと光に当たるような樹でさえもその明るさゆえに翳はでき、それはまるで人の悲しみのようだ”

この句は、悲しみは私達の明るさと隣り合わせで、だからこそ上手に付き合っていく必要がある事を教えてくれます。もちろんこれは私の解釈であり、人によって受け取り方、感じ方が変わるのが文学の面白いところであり、言葉の持つ力です。

言葉が容易に人を殺せるようになった時代において、「誰がどう思うか」という固定概念によって信念を変える事なく、「普通」という愚かな言葉に流されることなく一人でも多くの人が自分の好奇心を思う存分発揮する事が出来れば、そしてそう願う人たちの表現の場としてHCICUが居続けられば、とHCICUのsenior editorとして願っています。

Yukiko Takei

ICU (Japan) '22

Hi, I am Yukiko and am currently studying at the University of Gothenburg as exchange student remotely, majoring in public policy.
Articles anonymously written by HCICU Contributors.