今回、ICU25の学生によって立ち上げられた学生団体Fledgersの創立者二人の長坂有途と小山遼太郎に取材をさせていただきました。第二のイベント、”2ndイベント: Connect 25” を終えた二人にFledgersを立ち上げたきっかけ、二人のバックストーリー、さらには1st イベントと2ndイベントを通しての感想や今後の目標についてお話を聞かせていただきました。
- Fledgersはどういう学生団体ですか。
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有途:Fledgersがどういう団体かと聞かれると、実は毎回迷います。なぜなら、どういう団体にもなれると思うからです。この団体は主に「人と人をつなげること」を目的として活動をしています。今まではICU25の生徒同士を繋げて来ました。これからはICUの生徒を学年を超えて繋ぎ、さらに他の大学の生徒、また、企業や高校生などとも繋げたいと考えています。今後の活動においても変わらない一つのことは、「人と人を繋げる」という目的です。それを成し遂げるための手段は、どのようなイベントでも来てくれた参加者が誰かしらの仲間やバディーを見つけることができる場所を提供することです。バディーとは、自分が雑談・ラフな話(軽い話)から将来や生き方などの真面目な話(深い話)ができる相手だと思います。大学では歳をとればとるほど、そういう話をし合えるバディーを見つけるのが難しくなると思います。他大学だと、交流をするとしてもほぼ飲み会のサークルなどしかなくて、人間関係がsuperficial(表面的)なところがあると感じます。なので、学生の皆さんがバディーを見つけられるような機会や場を提供したいという目的の元で活動を続けていきたいです。
遼太郎:Fledgersを一文で表現すると、「夢を共に追い続ける人を見つける団体」だと思います。そしてイベントの企画をしている際に心がけているのは、アクティビティに面白い要素を取り入れるということです。イベントを通して誰かに喜んでもらえれば、また誰かのためになれば幸いです。
- Fledgersを立ち上げたきっかけはなんですか。
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有途:立ち上げのきっかけは中央線です。ある時、中央線で僕とコーファウンダー(団体の共同創立者)の遼太郎が話していました。僕たちはお互い同じWINDSという部活に入っていました。あと、お互いの趣味が完全に一致していたのですよ。バイオリン、ロードバイク、そしてパイロットを目指しているという目標。「お互い似てるよね」と話をしていた時に、遼太郎が高校生の時に学生団体をやっていたという話になりました。その学生団体は、高校生を対象に色々な世の中の社会問題に対して取り組んでいく「First Penguin」という団体です。「僕らもやりたいね」という話をしていて、そこで繋がったのがお互いの共通の目標である、パイロットになることの難点。パイロットになる中で色々な困難があります。一番有名な問題はお金がかかること。大体一人、自費で 2000万かかります。そういう経済的な負担に加えて、情報戦があります。例えば、パイロットの息子だったり、パイロットが身内にいたりするとアドバイスをもらえる、またコネクションで情報の格差が生まれる・ある。あと、親からの説得:「パイロットのような不安定な職業を目指すのだとしたら、公務員や会社員などといったもっと安定した職業についた方がいい」という意見が説得力あってパイロットを諦めてしまうこともある。また、大学などで周りにパイロットを目指している人がいないと、諦めたくなってしまう人が多いようです。このように、さまざまな理由で空を飛ぶことを諦める学生が多いのです。なので、パイロットになりたいという学生同士を繋げることを目的とした団体を作りたいという思いがそもそものFledgersの始まりです。中央線を降りてから僕と遼太郎はお互い連絡を取り合って、団体を作ることを決意しました。それが去年2021年の10月でした。
ここで、「パイロットになりたい学生同士を繋げる」という目的を持った団体は、僕らの夢、僕らの自己満になってしまうことに気が付いたのです。でもそこの根本には、今のFledgersの最終的なゴールである「学生たちが平等に夢を追える社会を作る」という目標があります。その目標を達成するためには学生を繋げようという思いがあります。これの一つ目の理由は「情報戦」。誰かがイベントに来たら新しい可能性を見つける・人脈が広がるって言うのは情報が入るということで、色々な情報を交換して欲しい、そう言う場所を作りたいっていうのが一つ。二つ目に、夢を追うということが格差、同調圧力の面がある。「こう言う夢があります」って周りの人に発表するのはとても勇気がいることだと思う。今の世の中は夢を一人で背追い込んで、一人の力で夢を追わないといけない世の中になっている。相談をする人がいないかもしれない。
だから、Fledgersのイベントでは、情報共有と将来のことを共有できるバディーを探すと言うのを目標として、将来のことを毎回ディスカッショントピックにしています。これによって、一人で夢を追う負担をちょっとでも減らせたらいいなと思ってます。
遼太郎:これは有途との共通の夢があることがきっかけでした。共通の夢について話すと、自分で色々調べるより、同じ夢を持つ他人と話すことで他にもこういうアプローチの仕方があるのかという発見があって、夢を一人で追うだけだと限界があることに気がつきました。10−20年前の小中高生の夢のアンケートは今まで夢っぽい素直な夢(パン屋さん、お花屋さん、など)だったのに、去年のアンケートによると会社員がトップでした。近年の悪い景気状態が影響しているのもそうですが、良い意味でも悪い意味でも「現実が見えすぎている」のが原因で、自分や他の人の「できないよ」、「無理だよ」という考えに影響された結果の夢だと思います。夢を最後まで追い続けることができることが環境があったらいいなと思いました。追い続けた結果、何かに気づいて夢を変えることは全然ありだと思います。誰かと一緒に頑張ることができたら大きなモチベーションになると思い、この学生団体を作りました。
- 1stイベントの目的とそれを経ての感想をお願いします。
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有途:初めは「人と人とを繋げる」と言う根本の目標が果たして需要があるのか、ということを疑っていました。その需要を確認するためのトライアルとして 1stイベントを開催しました。実は会場を先に予約して、逆算してプランしたのです。この1st イベントの題名は「Peer Review Your Future」で、アイスブレイキングやアクティビティを二つ行いました。1stアクティビティは、自分を自己理解するためのグラフを書くというものでした。自分の人生グラフを書いてもらって、自分で自分の軸や人生について振り返り、考えます。そして、周りの人に自分の人生グラフに突っ込んで貰うのです。自分の人生グラフを見て自分がどう言う経験や判断基準の元に人生を歩んできたのかを見てもらって、自分の軸について考えて貰いました。そして、それを元に自分の将来の夢や目標について考えて貰いました。そして、グループでそれについて話しあって貰いました。2ndアクティビティは、そのグラフを元にグループ分けをして、グループで共通の、一か月の目標を立てて貰いました。参加者が最初の一歩を踏むことができるように、というのがアクティビティの目的でした。
一つ目に取り上げたいグループ例は「SNSマーケティングがしたい」、「CAになりたい」という、将来の夢が決まっているグループです。そのグループに自分がやりたい職業について調べてもらった結果、「このアクティビティのおかげで、今はインターンをしている。また、新しい言語を学ぶ、という目標ができた」という参加者がいました。二つ目に取り上げたいグループは、「夢がそもそもない、夢なんていらない」、そして「今の人生が楽しければいい」というグループです。そのグループは「Waters(ワォーターズ)」というグループ名をりました。これには、自分たちは一つの夢を持たず、何でもなれる、誘導性をもとに水みたいに何でもなれる」という概念を含んでいます。三つ目のグループは、「夢がある、なんとなく興味のある夢・職業があるけどもやもやしている、そして夢がないしなくてもいいと思う」というグループです。分ける基準は「夢」でした。でもそれが夢がない、なくてもいいと思った人にとってプレッシャーになってしまったと感じます。イベントを終えて感じたことは、今は夢がなくてもいいということです。しかし、何かしら興味があることをもつことが大事だと思っています。それに対して何かしら一歩踏み出す・行動を起こすきっかけをFledgersと通して作れたらいいなと思いました。そして、夢というと堅苦しいけど、夢などの真剣な深い話ができる、語れるような人が見つかる場所にしたいと思いました。Fledgersを、夢を追い合えるコミュニティにしたいと思いました。これが僕の意識の変化です。
遼太郎:難しかったのは、イベントの目標を達成するためにどういうアクティビティをするのがいいかを考えて、実行することでした。嬉しかったことは、Waters(ワォーターズ)のグループのように参加者が少しでも将来に向かって一歩を踏むことができて、それに携われたことです!
- 2ndイベントの目的とそれを経ての感想をお願いします。
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有途:元々、1stイベント でもバディーと言う概念があったのですが、その意味が少し違うと思っています。1stイベントでのバディーは「自分と同じ夢や方向性を持っている」人のことでした。僕と遼太郎みたいな。2ndイベント以降では、共通の夢を持っていなくてもいいと思いました。夢とか、これからの人生とか大学のこととか、あまり人と話さないような真剣な話ができる人がバディーだと今は思っています。そういう人を見つけるのは、なかなか難しいんですよね、大学では。通年同じクラスの人は少なく、セクメ以外は同じクラスのメンバーと一緒にいるという訳ではないと思います。今のICU25の2年生にとっては、ELAはもう終わりましたし。対面の授業でディスカッションなどを通して仲良くなって意気投合するのは 1、2ヶ月以上かかってしまいます。でもそれを、私たちFledgersが、個人の考え方を偏見なしに知ってもらえるようなアクティビティや場所を提供することによって、1、2ヶ月かかるプロセスをイベント1回で済まして、バディーを見つけて欲しいと言う感じです。
2ndイベントの目標は25エイプリルとセプテンとOYRをつなげることでした。1stイベントのトライアルがうまく行きましたし、上達していくためにイベントを開きました。嬉しかったことは、まずイベント終了後に参加者が5-10人の集団で駅まで歩いて帰って行ったのを見送ることでした。自分も参加者として学生交流イベントに参加したことがあって、ゲームを通して持続的な関係性(バディー)を見つけるのは難しいと感じました。そういうイベントでは参加者が一人ずつや2−3年だけで帰って、その後連絡をとらなくなるという印象でした。でも今回のイベントでは、大勢で一緒に帰って行ったのを見て嬉しかったです。次に嬉しかったのが、「こうイベントを待っていた!」という参加者の声でした。日頃25エイプリルとセプテンが関わる機会は個人の人脈に依存していて、自分の友達の友達しか関わることができないことが多いです。だから、自分が大学で知り合えなかった相手とこのイベントで関わることができたのがいい機会だった、という意見をいただいて、とても嬉しかったです。そういうイベントを作りたかったからこそ、自分たちの目標が達成できてよかったと感じています。
2ndイベントの反省点は二つあります。まず一つ目は、運営が対応しきれておらず、英語と日本語の翻訳のごちゃつきがあったことです。二つ目は、初対面の人と盛り上がったものの、深い関係性と言う面では、activityでやった人生ゲームのディスカッションquestionの深い質問までみんな進めなかったことから、持続的な関係性は十分に構築できなかったのかなということです。
遼太郎:イベント当日までアクティビティの方向性がなかなか決まらなくて直前まで悩んでいました。でも、当日イベントの終わり頃には参加者からのいい反応があって嬉しかったです。
- なぜパイロットになりたいと思ったのですか?まだ目指していますか?
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有途:4歳の時にStar Warsを観て、Jediに憧れていました。それに一番近い職業が宇宙飛行士かパイロットでした。オーストラリアに留学した時にパイロットの方々に出会って、ますますパイロットになりたいと思いました。パイロットは飛行機で人を乗せるだけではなくて、夢や期待を乗せて安全に届けると言うのは夢のある職業だなと思ったんです。また、インターンシップ先でパイロットの方々と話したときに、燃えるパッションを持って職業について語ることができるような職業はいいなと改めて感じました。今は教職の資格も取れるようにICUで教職プログラムを受けています。先生というのも二つ目の夢だから、もう一つのオプションとしてとっています。そのプログラムを取るためにICUに来ました。でも、今でもパイロットの夢は飽きません。
遼太郎:父親の影響が大きいです。父は飛行機が大好きで、父が多摩川で競技用飛行機を飛ばしているのを幼稚園児の時に見て「かっこいい!」って思ったり、家に置いてあった本や模型を見たりして憧れるようになりました。幼稚園児から、七夕の時に「パイロットになりたい」という夢を書いていたんです。僕も、Star Warsを観てかっこいいと思ったこともパイロットになりたいと思ったきっかけの一つです。また、僕も今はICUで教職関連の勉強をしています。先生になることが目標ではないけれど、パイロットになるために今できることや、もしパイロットになれなかったりした時のために備えて教職など色々な興味のある分野を勉強しています。
- なぜパイロットを目指しているのにも関わらず、ICUを選んだのですか?
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有途:自分の先輩・知り合いのICU生にICUのことを聞いた時にみんな笑顔でいいところを語るし、真剣に何がいいのかを本気で笑顔で語っていたからです。そういう大学がいいなと思って選びました。もう一つの理由としては、面白い人が多いからです。インターナショナルな人が多く、色々な考え方を持つ人がいるので、パイロットを目指しながら、色々な視点からの意見を貰えるかなと思いました。一年前の自分が驚くようなことをしたいと思いました。
遼太郎:ICUは、日本の大学にしては英語のレベルが高いこと、英語を日常的に用いることで有名で、英語がなんか知らんけど好きだった高校生の私に突き刺さりました。あと、パイロットになりたいって夢はICUを選んだ当時から変わってないんだけど、知り合いのパイロットとかに「その職業に就くために大学生の間にしておけることはありますか。」って聞くとほぼ必ず「ない」って答えられるんです。「学生を満喫してね。」みたいなことも言われたんです。当時他にやりたいこともなかったから、いろんな方向性の授業がとれるリベラルアーツ的な要素を多く含んでるICUはめっちゃ良い選択肢だったと思います。
- 最後に皆さんへのメッセージをお願いします!
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1)まず、Fledgersは学生団体っぽい学生団体ではないということです。僕から見ると、大抵大学の学生団体は、団体の目標としているということをしっかりと達成できているかというと、あまりそうではなく、SNSの投稿で終わっている。個人の学びはもっとできると思っています。学生団体は学生のためだから、ICUの学生を繋げたいと思いました。「こういうのあったらいいな」というのをどんどん生み出せるような団体にしていきたいと思います。
2)イベントに参加して新しい人に出会い、何か一歩踏み出せるきっかけになったらいいなと思います。さらに、運営メンバーにも何か学び・インスピレーションになればいいなと思います。
3)ICUは良くも悪くも個々が独立している。自分がやりたいことや考え方が狭まっていて、独立している。それぞれが自分の興味・関心を持っていることに熱中して取り組んでいるようなイメージがあります。それは素晴らしいと思いますが、その中で、AさんとBさんそれぞれが熱中していることを合体させたら、すごいイノベ=ションが起こると思います。しかし、ICUでは特に学生同士をつなげる団体やイベントが少ないから、それが起こりにくい。だから、私たちの団体を通してそれをやりたいと思っています。
4)個々が独立しているから夢や将来に対して焦る人がいると思います。でも、焦る必要はないです。興味・関心は人との繋がりを通してできるものでもあるので、イベントで知り合った仲間からインスピレーションをもらえる場を提供したいです。それがFledgersです。大学では他の人に相談しにくいかもしれないから、夢がなくてもお互いを支え合える場を提供したいです。
4)Fledgersは、夢がある人が集まる団体だと思われがちかもしれませんが、夢がない人や探している人も来てくれれば、同じような境遇の人に出会えるし、インスピレーションを貰うことができます。なのでぜひきてください!そして、「夢は一人で追わなきゃいけないものではないよ」と言いたいです。仲間を見つければ、繋がりも視点も広がっていくから、夢が決まっている人でも決まっていない人でも、どんな人でも来て欲しいです。
これからもイベントを開催するので、ぜひきてください!
次のイベントの運営メンバー募集中なので、ぜひ応募してください。
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私は実際にFledgersの1stイベント に参加者として参加して、2ndイベントで運営メンバーとしてイベントの企画・広報に携わりました。リーダーシップの経験を積みたいと思い、さらにはFledgersの理念と目標や活動に共感・関心を持ったので、運営をしようと思いました。このイベントの運営を通してかけがいのない人との繋がりや経験を得ることができて、感謝しています。
ぜひみなさんもイベントに参加者として、あるいは運営メンバーとして参加をしてみてください!公式Instagram アカウント(@fledgers_official)もチェックしてみてください!